2014.04.23(Wed)

この写真がだれか、わかりますか?
がりがりに痩せて、疥癬にかかった状態で保護されたばかりの十夜です。
保護されたばかりのころ、十夜は傷だらけで、本当に飢えていました。
保護できるまで、何度か目撃されていた十夜。
私も一度、出会っています。
車の音を聞いて、道に出てきた十夜。
でも、声をかけても草むらに隠れてしまって、決して近寄ってくることはありませんでした。
十夜が保護された場所は、今でも給餌に通っている場所の近く。
でも、弱った体で給餌場所に通うことができていたかはわからず、姿を見かけたときは必ず、ドライフードやにゃんカップを置いてきていました。

保護されたばかりの十夜は人の顔を見ると、シャーっと威嚇をするものの、触られてお腹を撫でられるととたんにゴロゴロと喉を鳴らすような子でした。
暦の上では秋。
十五夜が近かったので、十夜と名付けたのは、実は私です。
満月みたいにふっくらしてほしかったから。

その願いは叶いました。
叶いすぎたと言ってもいいくらいに。

もふもふの毛布が大好きで、うっかりすると、踏み踏みして喉を鳴らしてしまうくらい。

とても穏やかで、優しい子です。
そんな十夜が、にゃんこはうすを離れ仮設住宅で生活していた私のところにやってきたのは、療養するためでした。
嘔吐が続いて、ご飯が食べられなくなって体重も一時期3キロ台まで落ちてしまいました。
南相馬の動物病院は二つしかありません。
震災前にはもっとたくさんの病院があったのだけど・・・
津波で被災したり、先生が亡くなったり・・・
警戒区域に設定された地域ではもちろん、診療することはできない。
いつも病院は過密なくらい混んでいたから。
仮設住宅の近くに獣医さんはなかったけれど、車で30分くらいの郡山市にはたくさんの動物病院があって、待合室で長い時間を待たなくても、診察を受けることができました。
その時のかかりつけだった病院では色々な検査を受けたのだけど、
はっきりとした原因はわからなくて。
対症療法で抗生剤と、整腸剤、自宅では点滴をして・・・
支援していただいたロイヤルカナンの消化器サポートやセンシブルを食べて、十夜は元気になりました。

お腹を撫でられるのが好きなのは、はじめと変わりません。

名前を呼ばれるのが好き。
くつろいでいるとき、名前を呼ぶとこんな顔をして、尻尾をパタンパタンと振ります。

そして、もっと大好きなのがご飯。
ここはおねだりするときの定位置。
にゃんこはうすの猫たちのお世話が終わって、部屋に帰ってくると、いつもここで待っています。

そんな十夜のことが、春も大好き。
十夜がいれば、安心して過ごすことができます。

にゃんこはうすの桜の花が、きれいに咲きそろう頃・・・
また体調を崩して入院した十夜。
月曜日に退院してきました。
腎臓の数値を表す検査データが、とても悪くて・・・
でも、経過が急だったので改善するかもしれない、と望みを託した入院でした。
でも、効果がありませんでした。
これ以上は病院でもできることがなくて・・・
入院のストレスの方が心配だったので、連れて帰ってきた月曜日のお昼。
迎えてくれた皆に撫でられて、十夜は嬉しそうに喉を鳴らしていました。
部屋に連れて帰ってからも、撫でるたびにゴロゴロと喉を鳴らして・・・

夕方くらいから、苦しそうになってきました。
一旦はキャリーから出ていたのだけれど、ちょっと暗い所に入りたかったみたいで、自分からキャリーに入っていました。
翌朝。
4月22日 6時26分。
私と、おっさん犬が見守る中で、旅立ちました。
外を見たら・・・
もう明るくなっていて、はらはらと雪のように散る桜の花びらが見えた。
雪みたいにたくさん、たくさん・・・
降る花を見て涙が止まらなくなった。
苦しそうな十夜を一晩中、見ていて・・・
苦しくなくなったほうが良いと思ったけど。
そうなってみたら、もう十夜がいないってことがさみしくて・・・
身勝手な自分の思いにも腹が立ったり、情けなくなったり・・・
自分でもおかしいと思うくらいに泣いた。
時間がたって、涙と鼻水が止まったら・・・
十夜と過ごすことができた日々は、とても大切なものだったんだと思うことができた。
だから、こんなにも悲しいんだって納得した。
十夜を見るとき、名前を呼ぶとき、撫でるとき・・・
どんな一瞬も、きっと私には楽しい時間だった。
ありがとう、十夜。
大好きだよ。

そして、十夜と過ごす時間をくれたすべての皆様へ、感謝の気持ちでいっぱいです。
直接、関わってくれたスタッフの皆。
警戒区域で生きていた、十夜を生かすための、給餌用フードを支援してくれた皆様。
十夜を保護した捕獲器も、捕獲用の餌袋も。
保護されたあと、過ごした二段ケージも。
フードもウェットフードも。
お水も。
猫ベッドも。
トイレに使っていた猫砂も。
医療費も。
みんな、にゃんこはうすの活動に賛同してくれた皆様の優しい気持ちの塊。
本当にありがとうございました。
そして、この文章を読んでくださっている方も・・・
十夜を愛してくれて、気にかけてくださって、
本当にありがとうございました。
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